ヌーベルシノア
TAOTAOの看板!


友人から『友達の中華料理屋さんが11月4日にオープンするんだけど
誰か〈オープンと営業時間を書いた〉木の看板作ってくれる人知らない?』
と聞かれ『俺でよければ作るけど、、』
というわけで、今回は看板やさんです。

看板に関しては思い入れがあるものですし、
オーナーの好みもあるので自分の作ったものが気に入って大事にしてもらえるか
不安もありますが、手作りの良さとほかでは買えない素人ならではの
オリジナリティで勝負です。

ただ同じ業界にいるだけあり、店の顔と言うべき入り口にありきたりの
既製品をぶらさげたく無い気持ちはよーくわかります!
自分もいまでこそ何でも自分で作ればイイヤ!と気楽ですが、
23歳の時新規オープンを任された時は身もココロ余裕がなく苦しい中ああでもないこうでもないと思い悩み、その結果いいものが見つかれば楽しい悩み!反対に妥協したときはずっと気になりつづけイヤなモノです。早くお気に入りを見つけ取り替えたくなります。

その気持ちがわかるからこそ、
他にもっといいものが見つかったときに暖炉にくべられないように
大切にしてもらえるようがんばらなきゃです!

コレが送られてきた工事中の写真です、南フランス風の内外装にチャイナ
というコンセプトだそうです、看板も木彫りで素朴なものがいいとのこと、
名前はTAOTAO〈陶桃〉です。
東京都ではっきり場所は覚えていませんが、大きな道路沿いで近くに
ファミリーレストランが点在するような場所らしいので周囲に埋没せずに
安くて美味しい内外装の洒落た中華!をアピールしなければいけません。


 
ホームセンターのカンセキ宇都宮駅東店の銘木コーナーで
厚さ5cmあるミズメという木を発見!これは良さそう!
TAOTAOオーナーからはオープンの看板を依頼されたのですが、
クローズはいらないのか聞いたところ欲しいけれど、看板をかけるカベが
ざらざらで裏面は傷付いてしまい使えそうもない!とのこと
それではともう一枚別に作ることに!
こちらは休みの日に店内のガラス越しに見てもらいものなので厚みは程ほどの杉材です。
(イーゼルにのせて入り口のガラス越しに見てもらうそう)

 
ルーターで粗削りしそのあとに電動彫刻刀で削ってゆきます。


深さが必要なので途中からノミでワイルドにカコンカコンしました、
このときにすごいことが、、いつもは時間もなく技術もないので
おこずかい?で少しずつ集めた電動工具が主役ですが、自分の手で
カーン!カーンとハンマーで木にノミを打ち込んでゆくと
自分自身が宇宙とシンクロするというか
神の声が聞こえるというか、大げさでなく何十年と大地に根を張った大木の叫びなのか
神聖な気分になります、木がこっちの方向に切られたいというココロに響く声が
ハンマーの衝撃!ノミが木にめり込み削ってゆく感触とともに両腕から脳に伝わり
自分が大きな感覚器官になり宇宙や自然と交信できるようになった気がしました。

昔の人が木(自然)を大切にし『50年経った木から作られたものは50年使う』そのときには
また50年経った木が育っており、木の数が減らない、自然を敬い壊さない知恵を人は
大昔から持っていました、手作業だからこそ自然の声が聞こえたのだなと思います、
少しは“苦手な自分の手による木工”を見直すことも必要ですね、だからこそ江戸時代以前に
シンプルな道具で素晴らしい建築物を作った先人に敬意を表します。

     
実際電動工具がないと私の休憩時間では到底完成しませんから、心がけでカンベンしてもらい
将来魔法の手をもつおじさんになりたいです。
削ったらサンドペーパーがかけられないくぼんだところを中心にバーナーで焦がし
布で磨きすべすべにして表面の平らなところをサンドペーパーで仕上げます。
塗料は飲んでも?無害なドイツのオスモ!浸透して奥で塗膜を作る
優れもの!表面がすべすべそのままの木の触感です。非常に人の生理に合いキモチイイ!

営業時間の色入れと平行して
今度はクローズの看板、こいつの役目は誰もいない店内で、今日はお休みです!
覚えてください、でもこの時間とこの時間は営業です、是非またお越しください、
そしてシェフの料理とマダムのサービスを堪能してくださいね!
と笑顔でさらりと営業すること、結構責任重大!
何か違うなこの店とアピールしなければ!!
  
文字に白と肌色を混ぜアイボリーとクリームの中間の色をポスターカラーでゆるめに(水くらいの濃度)作り削った字に流し込む、オスモは表面に塗膜を作らないくせに
実は強力な撥水性を持ち
溝にだけ色がたまるので、はみ出しても筆で溝に落とせば跡形もなくはみ出し跡は消え
とってもラクチン!これは我ながらいいアイディア。
一晩たてば水が蒸発し塗料だけが残りイイカンジ。

ステンレスの金具に真ちゅうのネジでゴールド&シルバー、ひそかなおしゃれ!
チェーンはささき色のブラックにゴールドのメッシュ。完成!



クローズも基本は同じ!
でもこちらはイーゼルにのせる分華やかに!アイアンでお化粧!

こういう道具で鉄筋を曲げます。

手で曲げた部品であらかたのデザインをし、酸素バーナーでとめてゆきます。
もちろん看板は一時取らないと燃えちゃいます。

完成!この日は深夜12時半から1時半の作業!さぶかった!!!
アイアンをブラック&ゴールドでアダルトに(クローバーのレジ前のアイアンと同じ)
文字に色をいれOK!

完成です!クローバーの中でお別れの記念写真!
キミたち我が子らよ、まだ見ぬ土地でしっかりTAOTAOのため尽くしてくれ!
あとで会いに行くね。

早速、友人に届けおかげさまで大好評の後、宅急便でTAOTAOに送られてゆきました。


 こちらはTAOTAOのグルメガイド編
(美味しかった!)への入り口