9月10日(火)楽しみにしていた那珂川・川下り、
なんと雨!小雨ぱらつき時折しっかり私たちに雨粒をご馳走してくれる、
グレイの空!
うらめしそうに見上げても、あんたたちの都合、そんなこと知らないもんね!
とどこかよそよそしい空。
いーよいーよ雨だって下るもんね!どーせ水で遊べば濡れるもんね!
何箇所か川をチェックしたけど危険なほど増水してないしね。
と、いうことで雨下り隊(あまくだりたい=雨でも下りたい!)誕生!
この8人が今回の雨下り隊メンバー
クローバーに集合し食事用・ボート回収用の車2台を
終点の船戸の運動公園そばの川原に置き、もう2台はボートを積み川上へ
出発地点の大桶運動公園駐車場でボートに空気を入れる。
準備完了で出発の乾杯!
雨下り1号艇・2号艇、いざ出航!
カッパ着て、しかもカヌーじゃなくてボート、
多分自分たちだけだなこんなこと今しているのは、、
それじゃ今日本一だ俺たち!気持ちいいなぁ1番は
なんて馬鹿なこと話してます。
これは1号艇乗組員、雨でビチョビチョでも開き直ると楽しくなってくる!
ちょっとばたつき気味の2号艇
人選に問題あり?
いやな予感がちょっぴり、
でもこの時はそれが何なのかはまだわかりませんでした。
まず出発してすぐ、手荒い洗礼!
2級(3級かな=白く川面が荒れている状態の表す言い方、1級がもっとも難しい。)の瀬
あわててソフトクーラーボックスから飲み物を出しバケツにして水をくみ出し、
飲み終わりのビールの缶も肌身離さず持っているレザーマン(マルチツール=いろんな機能のついたナイフ)で大きく口を開けコップにしてくみ出し!
いきなりやられたぁ!
漁師だ!風情があるね、いいなぁ、さすがに雨の川でボートで遊んでいる人はいないけど
あちらこちらで投網や仕掛けで漁をする川漁師の日常の姿が、、
日常を川と隔離する政策を国が続けた成果はばっちり!一般の人は川から遠ざかり、
偉大な自然の先生である川から学ぶことができなくなってしまった。
川とともにいや自然とともに生き生かされている人間!
与えてくれる自然にたいする感謝の気持ちも持てず、
それに気づかずに毎日を過ごしていいのだろうか?
自然を恐れ、敬い・対峙することで知恵を身につけ生きる力を手に入れる、
すごく生き物として自然な行為。
そうしたプロセスを省略し(省力)大人は子供たちに何を伝えたいのか?
アー流れが遅いなぁ!
これじゃバーベキュー予定地の船戸にはいつ着くんだろう、
カヌーの速度で予定を立てた失敗に今気づく、、
バーベキュー予定地をその先の茨城県御前山にしなくて良かった!
晴れていたらそっちに車を持って行ってたぞ!
よかったぁ!
、、、、何事も下調べが肝心。
瀬があり必死にこぐ時はいいけどだんだん寒い!
空と地面の境目が青くなり遠くに晴れ間が見えるようになり雨が上がり、
『やったね!晴れるよ』
大松橋、興野大橋と続きクローバーから見えるいつもの川の風景にココロが弾む、
もう少しでご飯だ。
すると目の前に滝状に段がついた水面が広がり、どこにも逃げ場はなくそこを通るしかない、
後で聞いたら農業用水の取水地らしい、結構な落ち込みで段が付き、
やばそうなのは誰の目にもあきらか。
しかし逃げ場はなく、覚悟を決める、
ワォ!堰のところに無数に鉄筋の棒がにょきにょき生えている、
これじゃボートに穴が開くじゃないか、
カラダを乗り出し手で鉄筋を握りボートの進路を強引に変え
棒と棒の間にボートをもぐりこませる。
何とかクリアーしかし、、である、
その後落下した先は取水され水面の浅くなった石だらけの川底、
その川底の石にたたきつけられイテッ!おしりがぁ!そしてあしがぁ!
なんと私の右足はグレーシーの大きなお尻とごろごろ転がっている石の間で
何度も何度もドシン!ドシン!とぐちゃぐちゃにプレスされ、ボキッと折れてしまった、、、、
ぐらい痛くてしばらく足は動かず!
とりあえず底の空気は石との摩擦で破け抜けてしまったが、ここの空気は
量もたいしたことなく問題はなし。
2号艇を見ると、あれっどっちに行くかきめてないな!
流される方向が良くないぞ、自分たちもとりあえず裏が崖の岸に上陸し様子を見る。
大きな岩の陰に小さい岩があり、2号艇到着!無事だったか、良かった!
あれっその岩で止まるの?船から降りてボートを持って、、
何しとるん?と見る間にしゅーっと空気が抜けぺちゃんこのグレーのビニールになっちゃった!
ちんぼつ!2号艇爆沈!
まじかよ〜、そこからこっちにこれるか?
これないよなぁ!だってコーナーの外側でその上
岩がありその周りを流れがぐるん!と加速して今までで一番流れが速いもん!
川が慣れていれば、飛び込んで適当に流され
そのうち足の付くところに出るが、
何しろ現代っ子、まぁプチ遭難ということで少し本気モード。
安全策で救出作戦始動!
ボートのロープを2つとも外しつなげよう!長さは足りるだろう、
ところが結びに行こうとするがぜんぜん岩の間を渡れない、流れが強くあっという間に流され
岩につかまってもいられずはがされる、かろうじて岩の真後ろだけが踏んばれるのみ。
ロープを渡せない!
くそっ!時間はいいところ30分!かなり暗くなり、もたもたすれば暗闇に包まれ
ホントに遭難してしまう。
下りながら木の棒があったのを思い出し、鳥さん(スタッフの名前)それをとりに行くことに、流されないよう
崖の際を慎重に歩く、何度も足を踏み外す、
びしょぬれのカラダから熱を奪われ急激に動きづらくなってきたぞ!
寒くてぶるぶる震えが止まらない。
上の写真のように左手は垂直に近い崖が続く、
目的地にはフリークライミングのようにわずかな取っ掛かりに
足や手を掛け崖をよじ登らないとたどり着けない、
黒曜石の岩盤はつかまるとところどころぼろっと岩がとれて危ない、
それは石器に使われるだけあり、鋭くて手が足がスパスパ切れる!
川の字に裂け、手痛い洗礼!
何とか木を手に入れ持ち上げてもどる(水につけたら流れに持っていかれちゃうので)
木を水面につけるとぐわっとすごい力で持っていかれる!
こらえようとしてもぜんぜんダメ。
初めに木の先端にロープを結びキーホルダーを重石に2号艇メンバーに投げる、
何度目かに届きロープとロープを結び、
ロープを伝ってまず女の子のちんさんにこちらへ来るように指示、
しかし途中で木が折れちんさんは右手に木、左手にロープ状態でロープを伝うのじゃなく、
ロープの一部になってしまった!(笑?っていいのか?)
いい判断をし左手を離してくれたが、あわてて逆に右手を離したらアウトである!
そのまま自分も一緒に、木につかまったまま流されたが徐々に近づき左手でちんさんGET!
岸までつれてゆくアブナイアブナイ!
折れちゃって短い木にはもうロープも無く、あとのオトコドモは、泳げ!
飛び込ませてひたすら泳ぎ、流される前に岸から伸ばした木につかまりGET!
救出おわり!
でもこれでおわりじゃないぞ!
今日はフラッシュライトを持っていない!
真っ暗になる前に、車を拾えるところに出なきゃ!
タイタニックみたいにボートにつかまる8人、
どんどん暗くなる、、ボートは足で漕いでもちっとも進まない、
体力を奪われたメンバーはつかまるのでやっと、、
これは快晴なった次の日だけれど、
暗闇の中この『なかよしキャンプ場』にも上陸できず
どんどん流されるがまま、冷え切ったカラダのバタ足は効かず
4人乗りに8人しがみついたボートは行きたい方向に進まない!
向こうに見える橋を通り過ぎるたあたりで何とかゆるい流れになりわずかに
足が付き始めここしかないラストチャンス!とばかりに、
みんなで必死でボートを押し、落石(もとのクローバーのあった場所)に上陸、
目の前の落石釣堀さんでタクシーを呼んでもらう、、
突然びっちょりでお邪魔しまして
大変失礼いたしました、河童じゃないですよねごめんなさい。
タクシーで船戸に行き、やっと食事だぁ〜
12インチのダッチオーブン(アメリカでカウボーイが使う万能なべ)で
白いんげん豆入り(私は豆好き)クラムチャウダーを作る、
10インチのダッチオーブンでトラ豆とサツマイモの入った炊き込みご飯を炊く。
左:お肉はうちモモのシュラスコ(ブラジル風)スタイルであぶり焼きして、
焼けた部分をそぎ切りしながら食べる、モモはうちモモなら柔らかいし味は抜群!
中央:クラムチャウダー、ダッチオーブンは重いふたがポイント、
圧力なべのようにやわらかく、芯まで火が通りしっとり仕上がる!
そしてふたに火のついた木炭をおけば上からもじっくり火が入る。
ケンタッキーフライドチキンのカーネルサンダースさんは
ダッチオーブンでしっとりと鳥肉を揚げているのを見て圧力鍋でフライドチキンを作る
あのスタイルを考え出したらしい。
右:炭火に鋳鉄製の重いダッチオーブンは最高の組み合わせ!火の入り方が違う!
お米が立つ立つ!サツマイモもしっとりあまーく、
普段人気薄のトラ豆も皮までやわらかでいい味わい、
混ぜればおこげもしっかり出来ていい香り!
長い長い一日だった、アクシデントも味のうち、
生きていることに乾杯!
おなかがへっていた皆さん、いい食べっぷり!(残すとコワイ?)
BBQはたのしいねっ!
最初からこういう楽しいことしか予想していなかったみんな、
プチ遭難はいい経験に!
平和ボケした日本の若者、ココロをひとつにみんなで力をあわせ
困難を乗り越え、確実に一回り成長したのです。
死ぬかもしれない、生きること、食べることで精一杯の一日、
感謝の気持ちにあふれ謙虚な気持ちに素直になれる事、
普段現代人が忘れていることを、自然という先生が教えてくれました。
がむしゃらなその姿は何より美しい!なかなか見れません貴重な若者たちの姿
他人の(身内じゃなく)若者が苦手なおじさん・おばさんに見せたい。
危ないことから遠ざけるばかりでなく、万が一に思いをはせ
どうしたら問題が解決できるかその知恵を教えるのが人生の教育です。
(今日のプチ遭難は昔の人ならなんとも思わず事故になんかなりっこないですけどね、
ただ30cmの水深があればおぼれることも可能!
自然について何にも知らないことがなにより怖い)
次の日、うそみたいに晴れた、、、
でも川は今日の方が昨日降った雨が川に流れ込み水量が増えていて、
また風が強く昨日よりもっと危険なんです。
この薄いピンクの石は“命の石”
途中の休憩で上陸したときに拾ったもの。
ボートを捨て、溺れるからカッパを捨て、
いろいろ失くしたけど、
とても大切な、素敵なものを手に入れた8人の思い出に
クローバーのどこかにおいてあります。